活動的な馬鹿より恐ろしいものはない
                          ――――ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ(ドイツ人作家)
被告 
判事 
検察  
 
弁護  
 
陪審員  
  
  
  
  
 
傍聴人 

 「いるのですか?」
 「いるのですか?」
 「たくさんの証言がある。
 「たくさんの証言がある。
当時勤務していたSSの隊員や、当時収容されていたユダヤ人たちがナチスの非道を証言している。
命令書がないと言っても、彼らの証言を無視することはできない」
 「命令書がない時点でそんな証言は偽証の可能性が高い。
 「命令書がない時点でそんな証言は偽証の可能性が高い。
命令書なしで公務員が動くわけがない」
 「実際に目撃者がいるんだ。
 「実際に目撃者がいるんだ。
しかもそれは一人や二人じゃない。
たしかに証言に嘘や誇張が混じっているのは事実だ。
イスラエル政府のホロコースト・センター、ヤド・ヴァシェムの公文書館長、サミュエル・クラコウスキは1986年に、保管している二万件のユダヤ人“生存者”の“証言”のうち、一万件以上は“信用できない”ことを確言した。
誰もかれもが“歴史の一部”になることを望んで想像力のままに話を作っているそうだ。
だが、逆に言えば、残りの一万件は信用できるということになる。
目撃者1万人、これだけの証人がいればドイツの有罪は間違いない」
参考資料:木村愛二著「アウシュヴィッツの争点」
すでに紹介ずみのウィーバーの論文「ニュルンベルグ裁判とホロコースト」には、何人かのユダヤ人の歴史家が、「ホロコースト」目撃証人の「嘘」の理由やその「病的傾向」を分析している事例をあげている。なかでも決定的に重要な部分を訳出すると、つぎのようである。
「イスラエル政府のホロコースト・センター、ヤド・ヴァシェムの公文書館長、サミュエル・クラコウスキは一九八六年に、保管している二万件のユダヤ人“生存者”の“証言”のうち、一万件以上は“信用できない”ことを確言した。クラコウスキの言によれば、おおくの生存者が“歴史の一部”となることを願っており、想像力をほしいままに走らせている。“おおくの人は、かれらが残虐行為を目撃したと称する場所にいたことがなく、または、友人や通りすがりの見知らぬ他人から聞いた二次的な情報にたよっている”。クラコウスキの確言によると、ヤド・ヴァシェムが保管している多くの証言記録は、場所や日時についての専門的な歴史家の鑑定を通過することができず、不正確であることが証明された」
では、のこりの「一万件」以下の“証言”は、はたして「信用できる」のだろうか。それらは「場所や時間」についての」鑑定を通過したのかもしれない。だが、その“証言”の内容のすべてまでは保証できないだろう。そこで「ガス室」を見たという部分があったとしても、その物的証拠を示しているわけではないのである。
 「目撃者?
 「目撃者?
それが本当に目撃者だと言えるのか?」
 「そこにいた当事者なら目撃者だろ」
 「そこにいた当事者なら目撃者だろ」
 「本当にそう言い切れるのか?
 「本当にそう言い切れるのか?
例えば、アウシュヴィッツ絶滅刑務所のビルケナウに在ったクレマ2、3と呼ばれる建物がある。
『クレマ』という名が示す通り、これら二つの建物は、煉瓦作りの火葬場だった。
問題は、それら二つの煉瓦作りの建物の地下室が何であったかだ。
ガス室肯定派は、それらの建物の地下室が処刑用ガス室だったと言う。
見直し派は、図面から、病死者の死体を安置した死体安置室だったと言う。
どっちにしろ、この建物は在った訳だ。
だから、その地下室がガス室だったかどうかは別として、とにかくそこに在ったこの二つの建物を見たユダヤ人は数限りなくいることになる。
そして、ホロコースト肯定派によれば、一般のドイツ人やSSには、ユダヤ人絶滅計画は極秘だったので、戦後になってから明らかにされたということだが、そうなると、当事者たちは『居たときはわからなかったが、絶滅刑務所はあった』という目撃者になってしまう。
こんなものは目撃者でもなんでもない」
 「だが、絶滅計画を実行していたSSが証言しているんだぞ!」
 「だが、絶滅計画を実行していたSSが証言しているんだぞ!」
 「その証言は拷問の結果として得られたものが少なくないだろう。
 「その証言は拷問の結果として得られたものが少なくないだろう。
ダッハウ裁判だけでも139人のドイツ人被疑者が拷問を受けた事をアメリカ自身が記録に残している。
100人以上の証人が拷問されただけでも、証言には証拠能力はないと言える」

 「ふははははは!
 「ふははははは!
拷問された=証言が信用できないなどというのは、否定派の戯言に過ぎん!
拷問によって正確な証言が得られることもあるのだ!」
 「拷問が発覚した時点で、そんな裁判は茶番だろうと考えるのが普通だろうが」
 「拷問が発覚した時点で、そんな裁判は茶番だろうと考えるのが普通だろうが」
 「何を言う。
 「何を言う。
拷問による証言が信用できなくとも、それ以外の証言が信用されないとは言い切れん。
拷問されていない証言を採用すればいいだけのこと。
刃こぼれのある剣が名剣となる事だってある。
人の世も、またかくあらん」
 「拷問する検察自体の価値が無効とならないとはな……
 「拷問する検察自体の価値が無効とならないとはな……
ホロコースト肯定派の思考回路は驚愕に値するぜ」
 「ふっ 拷問とは人聞きの悪い話だ。
 「ふっ 拷問とは人聞きの悪い話だ。
たしかに戦争による感情の高ぶりで連合軍兵士が暴行を働いたことは事実だ。
が、それが拷問だったのかどうかは別問題だ」
 「拷問ではない、と?」
 「拷問ではない、と?」
 「その通り。
 「その通り。
連合軍がやったのは暴行であって拷問ではない。
拷問と暴行の違いは命令の有無にある。
弁護側に聞こう。
拷問を命じた命令書はあるのか?」
 「……命令書はない。
 「……命令書はない。
だが、そもそも敗戦国と戦勝国を同一視すること自体間違っている。
戦勝国、特にアメリカやイギリスの公文書は今だに非公開の書類が少なくない。
連合国はナチ戦犯の軍人や科学者と司法取引して、軍事知識や科学技術を手に入れていたからな。
それらがバレると困るから、今だに一部の極秘書類は非公開だ。
そんなもんを手に入れるのは現時点では不可能だ。
残っているかどうかもわからない」
 「つまり拷問したことを立証することはできないということだ。
 「つまり拷問したことを立証することはできないということだ。
立証できるのは暴行したということのみ!」
 「それは詭弁だ!」
 「それは詭弁だ!」
 「ホロコースト否定派は犯罪を自白したナチ党員の証言を全て『拷問』という理由で証拠能力無しと両断しているが、証言の証拠能力は拷問の有無で決定するものではない!
 「ホロコースト否定派は犯罪を自白したナチ党員の証言を全て『拷問』という理由で証拠能力無しと両断しているが、証言の証拠能力は拷問の有無で決定するものではない!
ましてや、拷問によって『嘘の証言をさせた』などということはホロコースト否定派の想像に過ぎない」
 「連合国は全ての資料を公開していない!
 「連合国は全ての資料を公開していない!
それは公開すれば嘘だとばれてしまうからだ!」

 「裁判では証拠がものをいう!
 「裁判では証拠がものをいう!
その他のものはすべて沈黙すべし!
そんなことも知らないのか。
この、ドシロウトめが!
『嘘の証言をしろ』という拷問を命じた証拠がないなら黙っていろ!」
 「ぐ、ぐぐぬッ!」
 「ぐ、ぐぐぬッ!」
 「命令書がないのでは、拷問によって『嘘の証言をさせた』と立証できません。
 「命令書がないのでは、拷問によって『嘘の証言をさせた』と立証できません。
残念ですが、これは検察が正しいですね」
 「くぅ……!」
 「くぅ……!」
 「フッ 正しいも何も当然のことだ」
 「フッ 正しいも何も当然のことだ」
 「ならば証人を呼んでもらおう。
 「ならば証人を呼んでもらおう。
証言が拷問という理由“だけ”で否定されているわけではないことを証明すればいいことだ。
ただし、証人はガス室殺人を見た人間だけにしてもらおうか」
 「どういうこと?」
 「どういうこと?」
 「証言は一万件というが、ガス殺そのものを見たって人間は少ない。
 「証言は一万件というが、ガス殺そのものを見たって人間は少ない。
例えばアウシュヴィッツの場合、ホロコースト物語の主役みたいなもんだが、『アウシュヴィッツのガス殺を見た』という証言はせいぜい十数個に限られている。
アウシュヴィッツのガス殺に関する本を見ていれば、だいたい同じ名前が載っていることに気づく。
ルドルフ・ホェッス(アウシュヴィッツ所長)、ペリー・ブロード(SS隊員)、フィリップ・ミューラー(ユダヤ人特務班)、ヘンリク・タウバー(SS医師)、スラマ・ドラゴン(囚人)、ニーシュリ(SS隊員)、C・S・ベンデル(ユダヤ人医師)、クルト・ゲルシュタイン(SS隊員)、ヴィエルニク、その他と言ったところだな」
 「え? こんなに少ないの?」
 「え? こんなに少ないの?」
 「そうだ。
 「そうだ。
ホロコースト肯定派は『何千人、何万人の証人が同じ嘘をつくとは考えられない』と言うが、実際はこの程度の人数だ。
各場面それぞれの証人の人数はそれほど多くないのが実状なんだよ。
したがって、何千、何万人が共謀するのは考えにくいが、これくらいの人数ならば共謀して嘘をつくことは十分可能だ。
さあ出してもらおうか、ガス殺を見たという証人をな」
 「よかろう。
 「よかろう。
では、判事。
証人の入廷を許可してもらいたい」
 「許可しましょう。
 「許可しましょう。
証人は入廷してください」
……
 「証人、名前と職業を」
 「証人、名前と職業を」
 「クルト・ゲルシュ――――」
 「クルト・ゲルシュ――――」
 「有罪」
 「有罪」
 「おいコラ! まだ何も言ってねぇぞ!」
 「おいコラ! まだ何も言ってねぇぞ!」
 「ご安心を。
 「ご安心を。
このキース、黒魔術士殿の心の叫びをしかと受け止めてございます」
 「叫んでない叫んでない」
 「叫んでない叫んでない」
 「ふっ 何をおっしゃるやら。
 「ふっ 何をおっしゃるやら。
意志というものは言葉のみで表すものではございませぬ。
真の執事にとって、言葉などは伝達手段の一種に過ぎないのです。
ましてや、黒魔術士殿の体から湧き出る『鬱だ、氏のう』オーラがひしひしと……」
 「出てない出てない」
 「出てない出てない」
 「ああ!
 「ああ!
蹉跌と貧困の果てに、心はすさむばかりの黒魔術士殿とはいえ、まさかわたしとの美しき友情の日々がまやかしであったと言うのですか!」
 「美しき友情ねぇ……」
 「美しき友情ねぇ……」
 「残酷な話でございます。
 「残酷な話でございます。
確かに、わたしたちはいつしか戦いの中で友情を育(はぐく)んだ仲とはいえ、もともとは敵として相対した者……」
 「どこにそんな過去があったんだ?」
 「どこにそんな過去があったんだ?」
 「黒魔術士殿……過去とは人の価値そのものと呼んでも過言ではありませぬ。
 「黒魔術士殿……過去とは人の価値そのものと呼んでも過言ではありませぬ。
それをいたずらに捏造するなど外道にも劣る非人道的行為」
 「そうよ!」
 「そうよ!」
 「コギー?」
 「コギー?」
 「いつになったら話が進むのかねぇ……」
 「いつになったら話が進むのかねぇ……」
 「うむ、関係のないキャラがどんどん出てきて話がさっぱり前に進まんな」
 「うむ、関係のないキャラがどんどん出てきて話がさっぱり前に進まんな」
 「コギー、お前警察の仕事はどうしたんだ?
 「コギー、お前警察の仕事はどうしたんだ?
こんな引き篭りどもの溜まり場なんぞに縁はないだろ」
 「ヒッキー扱いかよ……」
 「ヒッキー扱いかよ……」
 「人生は短いわ。
 「人生は短いわ。
こんな天気のいい日に仕事をするなんて貴重な青春の無駄使いだと思わないかしら?」
 「公務員の風上にもおかない発言だな。
 「公務員の風上にもおかない発言だな。
とどのつまりただのサボりじゃねぇか」
 「違うわよ。
 「違うわよ。
一人で仕事してもどうせ失敗するだけだから、オーフェンに手伝ってもらおうと思って」
 「…俺は今、証人役のバイト中だ。
 「…俺は今、証人役のバイト中だ。
仕事なら後で手伝ってやるから傍聴席で大人しくしてろ」
 「え……? い、い、い、い……」
 「え……? い、い、い、い……」
 「い?」
 「い?」
 「今なんて言ったの?」
 「今なんて言ったの?」
 「後で手伝ってやると言ったんだが……」
 「後で手伝ってやると言ったんだが……」

 「あなたは本物の黒魔術士殿ではない!」
 「あなたは本物の黒魔術士殿ではない!」
 「……ハァ?」
 「……ハァ?」
 「い、い、い、今の一言は……
 「い、い、い、今の一言は……
そのなんというか、わたしの耳がたしかならば『後で手伝ってやる』と仰いましたね?」
 「言ったけど、それが?」
 「言ったけど、それが?」
 「そ、そ、そ、そんな、お、お、お恐ろしいことを……」
 「そ、そ、そ、そんな、お、お、お恐ろしいことを……」
 「何が恐ろしいことなんだよ」
 「何が恐ろしいことなんだよ」
 「バン!(机を叩く音)
 「バン!(机を叩く音)
よろしいですか皆様方!
この犯罪者ぎりぎり、いやそれよりどちらかと言えば犯罪者から数えたほうが近いって感じ、ていうか犯罪者風味な犯罪生活をしているような印象の黒魔術士殿が、今なんと言ったか!」
 「誰が犯罪者だ!」
 「誰が犯罪者だ!」
 「いえ、誰もそのよーなことは申しておりませんが」
 「いえ、誰もそのよーなことは申しておりませんが」
 「たしかに断定はしてないな」
 「たしかに断定はしてないな」
 「断定してないかもしれんが、言ったと同じだろーが」
 「断定してないかもしれんが、言ったと同じだろーが」
 「詭弁はおやめくださいっ!」
 「詭弁はおやめくださいっ!」
 「詭弁かな……?」
 「詭弁かな……?」
 「語るに落ちましたな。
 「語るに落ちましたな。
本物の黒魔術士殿であれば、人災権化の竜巻女の仕事を無償で手伝うなどとは、口が裂けても言うはずがございません」
 「竜巻女って……」
 「竜巻女って……」
 「おそらくかの国のコピーによって生み出された模造品なのではないかと思われますが、いかがでしょう?」
 「おそらくかの国のコピーによって生み出された模造品なのではないかと思われますが、いかがでしょう?」
 「その割にはよくできてるぞ」
 「その割にはよくできてるぞ」
 「品物か?」
 「品物か?」
 「わかった。中に麻薬が入ってるんだよ」
 「わかった。中に麻薬が入ってるんだよ」
 「密輸品扱いかよ」
 「密輸品扱いかよ」
 「どやかましいわっ!
 「どやかましいわっ!
いいじゃねぇか別に手伝ったって。
こないだ飯をおごってもらったわけだし、仕事を手伝ってれば、またおごってもらえるかもしれないし」
 「ああ! そんなさわやかで正義の味方な黒魔術士殿なんて黒魔術士殿ではありませぬ!」
 「ああ! そんなさわやかで正義の味方な黒魔術士殿なんて黒魔術士殿ではありませぬ!」
 「そうよねぇ、やっぱりオーフェンは目付きが悪くて、罵詈雑言を言いふらした挙句、留置場で臭い飯を―――」
 「そうよねぇ、やっぱりオーフェンは目付きが悪くて、罵詈雑言を言いふらした挙句、留置場で臭い飯を―――」
 「我は放つ光の白刃白刃白刃!」
 「我は放つ光の白刃白刃白刃!」
ちゅどおおおおおおおんッ!
 「ったく…
 「ったく…
せっかくゲスト出演してるってのに、いつもとやってることは全っ然、変わらねぇじゃねえか」
 「まったくでございます。
 「まったくでございます。
もともと我々はこのコーナーにおいては居候も同然。
そろそろ真面目にやらなければ読者が他のサイトに行ってしまうかも知れません」
 「……んでいつも通りノーダメージと。
 「……んでいつも通りノーダメージと。
……俺の魔術ってレベル低いのかなぁ……」
 「いえいえ、さすがのわたくしもコンスタンス様シールドが無ければ危ないところでした。
 「いえいえ、さすがのわたくしもコンスタンス様シールドが無ければ危ないところでした。
流石は人生裏道爆走中の黒魔術士殿と言ったところですな」
 「……あんた、その女性の執事じゃなかったの?」
 「……あんた、その女性の執事じゃなかったの?」
 「無論です。
 「無論です。
アーバンラマの蒸気王 故フレデリック様亡き後、お館様のご息女であるコンスタンス様の幸せだけがわたくしの生き甲斐でございまして」
 「でも盾にしたわよね」
 「でも盾にしたわよね」
 「ああ! なんという美しきは自己犠牲の精神!
 「ああ! なんという美しきは自己犠牲の精神!
執事であるわたくしを守るために身を犠牲にするとは!
ぅぅ…コンスタンス様、わたくしは貴方様のような良き主にお仕え出来て三国一の幸せ者にございます!」
 「おもっきりシールドって……」
 「おもっきりシールドって……」
 「……そういうことはこっちに置いといて」
 「……そういうことはこっちに置いといて」
 「置いてどうする」
 「置いてどうする」
 「キ、キース……!」
 「キ、キース……!」
 「おおコンスタンス様! よくぞご無事で!」
 「おおコンスタンス様! よくぞご無事で!」
 「あ、あんた、わたしを盾に―――」
 「あ、あんた、わたしを盾に―――」
 「……」
 「……」
PAM! PAM! PAM!
 「……これでよし」
 「……これでよし」
 「よし、じゃねぇだろ」
 「よし、じゃねぇだろ」
 「……」
 「……」
 「なんだよ」
 「なんだよ」
 「そこの無駄に値段の高くてヲタクな服を着た人」
 「そこの無駄に値段の高くてヲタクな服を着た人」
 「……もしかして俺か?」
 「……もしかして俺か?」
 「当然でございます。
 「当然でございます。
今時そのようなロリータちっくな格好をしても恥ずかしくない鋼鉄の精神には敬意を払いますが―――」
 「誉めてるのか喧嘩売ってんのかどっちだ?」
 「誉めてるのか喧嘩売ってんのかどっちだ?」
 「つーか、どの辺がロリータなの?」
 「つーか、どの辺がロリータなの?」
 「お遊びとはいえ、仮にもここは法廷。
 「お遊びとはいえ、仮にもここは法廷。
暴力はいけません」
 「今のお前が言うか?」
 「今のお前が言うか?」
 「これは異なことを。
 「これは異なことを。
さきほど魔術を発動させたのは誰ですかな?」
 「オーフェンだな」
 「オーフェンだな」
 「なるほど、では悪いのは誰かを申し上げる必要はないでしょう」
 「なるほど、では悪いのは誰かを申し上げる必要はないでしょう」
 「トドメさしたのはお前だろ」
 「トドメさしたのはお前だろ」
 「大丈夫。こんなこともあろうかと思って非死性のゴムスタン弾を使用しておきました」
 「大丈夫。こんなこともあろうかと思って非死性のゴムスタン弾を使用しておきました」
 「ならば問題ない」
 「ならば問題ない」
 「十分問題だろ……」
 「十分問題だろ……」
 「……ぶつぶつ……我慢だ、我慢……
 「……ぶつぶつ……我慢だ、我慢……
この茶番劇さえ終ればバイト料が手に入る。
ああ、これで塩と水だけで飢えをしのぐという日々なんておさらばだ。
2日ぶりのまともな飯……生きててよかった……」
 「2日ってリアルな数字ね」
 「2日ってリアルな数字ね」
 「アルクさん、そんなにバイト料高いんですか?」
 「アルクさん、そんなにバイト料高いんですか?」
 「いや、ホンの気持ち程度でそんなに大した金額じゃないはずだが……」
 「いや、ホンの気持ち程度でそんなに大した金額じゃないはずだが……」
 「どーいう生活送ってんだこいつは?」
 「どーいう生活送ってんだこいつは?」
 「……ぶつぶつ
 「……ぶつぶつ
よし! ストレスを押さえ込んだぞ。
さあ来い!
見事この試練を乗り切って生きる権利を勝ち取ってやるぜ!」
 「生きる権利ねぇ……」
 「生きる権利ねぇ……」
 「押さえ込んだって、さっき思いっきり暴れたような……」
 「押さえ込んだって、さっき思いっきり暴れたような……」
 「問題ない。コギーは無駄に丈夫だ」
 「問題ない。コギーは無駄に丈夫だ」
 「そーいう問題じゃねぇだろ」
 「そーいう問題じゃねぇだろ」
 「ごほん!
 「ごほん!
では、証人。
改めて聞くが、名前と職業は?」
 「クルト・ゲルシュタイン。SS隊員だ」
 「クルト・ゲルシュタイン。SS隊員だ」
 「貴方はナチスの一員として、アウシュヴィッツでユダヤ人絶滅計画を実行していた。
 「貴方はナチスの一員として、アウシュヴィッツでユダヤ人絶滅計画を実行していた。
そのことを話してくれ」
 「ああ。
 「ああ。
まず最初に言いたいのは、ナチスが殺したユダヤ人の数は2500万人で……って、をい。
なんだその『もういいや』って言いそうなその顔は!」
 「だって2500万人って……どう考えても嘘じゃないのよ。
 「だって2500万人って……どう考えても嘘じゃないのよ。
当時の世界のユダヤ人は2000万人以下なんだからさ。
ドイツが占領した地域だけを取れば、1000万人を超えているかどうもわかんないし……」
 「クルト・ゲルシュタインの供述はあまりに嘘臭いため、1946年1月30日のニュルンベルク裁判では連合国に証拠採用を拒絶された。
 「クルト・ゲルシュタインの供述はあまりに嘘臭いため、1946年1月30日のニュルンベルク裁判では連合国に証拠採用を拒絶された。
当時の連合国ですら嘘だと考えたほど胡散臭いシロモノだ。
あんなものをホロコーストの根拠にしている歴史家なんていない」
 「そんなことはない。
 「そんなことはない。
ゲルシュタインの供述は1961年にイスラエル・エレサレムで行われたアイヒマン裁判でフランス人のデュボスト検事によって部分的に利用された。
それ以後はホロコーストの貴重な資料になっている。
ゲルシュタインは『ナチ党の野蛮な行為を世界に知らせるために』親衛隊員になり、『世界にそれをつたえるために』フランス軍に投降したと『告白』していた。
フランスで『戦争犯罪人』として拘留されている間に、独房で首をつって死んでいるのを発見されたが、それまでの拘留期間中に六種類の『告白』を残した。
ゲルシュタインは、『ガス室』処刑に実際にたずさわったと称し、その一部始終を『死体からの金歯の抜き取り』にいたるまで微に入り細をうがって『告白』している。
つまり処刑の現場に立ち会ったということだ。
証人、ガス室処刑に立ち会ったときのことを話してくれ」
 「アウシュヴィッツのガス室処刑では、700から800人が立ったまま25平方メートルの部屋に押し込まれ……
 「アウシュヴィッツのガス室処刑では、700から800人が立ったまま25平方メートルの部屋に押し込まれ……
なんだよその顔は」
 「お前正気か?
 「お前正気か?
1m2に立ったままの人間が28人も入るわけないだろうが」
 「俺に言われても困る
 「俺に言われても困る
台本にそう書いてあったんだから。
俺だって最初は記述の間違いだと思ったが台本の元になったソースに、ホントにそう書いてあるんだからしゃーねーだろ」
参考資料:木村愛二著「アウシュヴィッツの争点」
ゲルシュタイン陳述は、ニュルンベルク軍事裁判所でも一九四六年一月三〇日に証拠採用を拒絶されたほど明白に常軌を逸していたにもかかわらず、その後、フランス人のデュボスト検事によって部分的に利用され、そこに付け加えられていたチクロンBの商品説明に関して、一九六一年にエルサレムで行われたアイヒマン裁判で利用された。この“証言”(ニュルンベルク裁判記録)によれば、犠牲者の数は、ベウツェック、トレブリンカ、ソビボルの三つの収容所で一日に六万人であり、総計、二五〇〇万人に達するのである! その他にも、七〇〇から八〇〇人が立ったまま二五平方メートルの部屋に押し込まれるという陳述がある。なんと、一平方メートルに二八人!
 「これがニュルンベルク裁判で採用されなかった真の理由なのね」
 「これがニュルンベルク裁判で採用されなかった真の理由なのね」
 「そうだ。
 「そうだ。
こんないい加減な供述を証拠に使ったデュボスト検事は脳ミソ腐ってるんじゃないか?
もしくは確信犯のどちらかだな」
 「そしてデュボスト検事に匹敵するアホ映画監督がいる。
 「そしてデュボスト検事に匹敵するアホ映画監督がいる。
フランスにな」
参考資料: 毎日新聞2002年9月2日東京朝刊
第二次世界大戦を舞台に、ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の阻止を法王ピオ12世(在位1939〜58年)に直訴するナチス親衛隊員と、これに沈黙を通した法王の姿を描いたフランス映画「アーメン」が、今年のベルリン映画祭に出品された。教会の「偽善」と「欺まん」を鋭く告発して欧州で論議を呼んだ意欲作について、訪日を機にコスタ・ガブラス監督(69)に、自身の信仰体験を交えて語ってもらった。
(略)
――迫害を受けたユダヤ人が、今度はパレスチナ人を迫害しているとの非難もあります。
◆ヒトラー時代のドイツとイスラエルを並べて比較することは避けるべきだ。状況が違う。ヒトラーはユダヤ人の虐殺を極めて計画的に実行した。イスラエルで起きている悲劇とは全く別だ。イスラエル人のなかには、パレスチナの地に別の民族がいることを知らずにやってきた人たちもたくさんいた。
(略)
映画「アーメン」は、ユダヤ人虐殺用のガス室を目撃したナチス親衛隊将校ゲルスタインが、ベルリン駐在の若き修道士リカルドとともに法王ピオ12世に虐殺阻止を訴えるストーリー。原作はドイツ人作家ロルフ・ホーホフートの戯曲「神の代理人」。強大なナチス支配のもとで誰もが真実から目を背けようとするなか、2人は危険を冒して法王にナチスの蛮行を訴えるが、法王はユダヤ人虐殺に抗議の声を上げようとしない。教会の“不正義”に絶望したリカルドは、ナチスがユダヤ人の識別に用いた「ユダヤの星印」を自らの胸に縫いつけ、強制収容所行きの列車に乗り込む――。英BBCは「コスタ・ガブラス監督はこの作品で、バチカンの欠点について最も説得力のある研究を提供している」と論評している。日本での公開は未定。
コスタ・ガブラス監督
ギリシャ生まれのフランス人。ギリシャで実際に起きた政治絡みの謀殺疑惑を題材にした「Z」(69年)でカンヌ映画祭審査員特別賞を受賞。「戒厳令」(73年、ルイ・デリュック賞)や「ミッシング」(82年、カンヌ映画祭グランプリ)など骨太の社会派映画で国際的に高い評価を得た。フランスのレジオン・ドヌール勲章騎士章、国家功労章などを受勲している。
 「糞フレンチめ。
 「糞フレンチめ。
フランス人の武装SSは1945年のベルリン攻防戦で最後の最後まで戦った。
にもかかわらず戦後のフランスはあくまで国民総レジスタンスなどと嘘八百を付く。
勝ち馬に乗るだけが全てという腐った根性だから1940年の対ドイツ戦でもたった一ヶ月で粉砕されたのだ」
 「だけど、そのときに漁夫の利を狙って参戦したイタリアはフランスに返り討ちにされてるわよね」
 「だけど、そのときに漁夫の利を狙って参戦したイタリアはフランスに返り討ちにされてるわよね」
 「イタリアねぇ……」
 「イタリアねぇ……」
 「……。
 「……。
さて、検察に質問する。
こいつを本気で証人にする気か?」
 「……
 「……
いや、今のはちょっとした手違いだ。
なかったことにしてくれ」
 「ということです。では次へいきましょう」
 「ということです。では次へいきましょう」
 「ちょっと待てぃ! もう終わりかよ!」
 「ちょっと待てぃ! もう終わりかよ!」
 「御意にございます」
 「御意にございます」
 「……ったく、俺が証人役をやったのはまるっきり無意味じゃねぇか。
 「……ったく、俺が証人役をやったのはまるっきり無意味じゃねぇか。
だいたい日本人がナチスの無罪を立証することにどんな意味があるってんだよ」

 「その発言はこの審議の意義を否定する発言です!
 「その発言はこの審議の意義を否定する発言です!
撤回を要求します!」
 「撤回しても事実は変わらないぜ」
 「撤回しても事実は変わらないぜ」
 「それを言ったらお終いだ!」
 「それを言ったらお終いだ!」
 「その通り。
 「その通り。
そもそも、このコンテンツはネタになるからという単純かつ個人的な理由のみで作られているのではない。
八紘一宇の精神に基づいて作られているのだ」
参考資料: 与謝野晶子「非人道的な講和条件」大正8年5月22日
「この事は独逸人の事として考えてはなりません。全く人間の問題です。
個人的の利己主義を排し、刑法上の報復主義を抛ちつつある今日、我々は国民の名において、他の国民に対して残忍非道なる利己主義と復讐主義とを施して好いでしょうか。それが英米及び仏蘭西のいわゆる「正義」そのものでしょうか。世界の感情は今病的に極端から極端へ馳せています。暴に報いるに暴を以てしています。私はこれを見て、世界の勢力者である政治家と実業家の個人的及び国家的利己心の根柢の深いことを今更の如く恐れずにいられません。ウィルソンの明哲を以てして、なおかつそれらの多数勢力者の利己心から掣肘されているのです。それにつけても、日本の道徳論者はなぜ沈黙しているのでしょうか。彼らが平生よく国民に向って教える所のいわゆる日本固有の道徳は、欧米の基督教的道徳とは違っているはずです。その「異っている」所の立派な道徳に依って世界を指導する絶好の機会は、この度の極度に非人道的な講和条件を日本道徳の見地から忌憚なく厳正に批判する事ではないでしょうか。論壇には若宮卯之助氏のように、常に世界の大勢に盲従することを排撃する人たちがあります。私は今こそその人たちの手腕を示さるべき時だと思います。私は講和条件に現われたような思想が到底明治天皇の「教育勅語」の道徳と一致するものとは考えられません。世界はすべて濁るとも、日本だけは独り高く浄まりたいと思います。」
 「ホロコーストはドイツだけの問題ではない。
 「ホロコーストはドイツだけの問題ではない。
例えば近年、アメリカにおける南京大虐殺の宣伝に関して、支那人を裏から指導していたのはホロコーストを宣伝するユダヤ人たちだった。
奴等にとって歴史の見直しを唱える連中は敵以外の何者でもない。
日本の歴史を見直しすることが広まれば、必然的にホロコーストの見直しも広まってしまうからな。
日独両国は地球の反対に位置しつつも、その置かれた状況は極めて酷似している。
ホロコーストは日本人の問題でもあるのだ」
 「どうしてそんな嘘をつくんですか?
 「どうしてそんな嘘をつくんですか?
ただ単にドイツネタがやりたいだけのくせに」
 「ふっ なんとでも言え。
 「ふっ なんとでも言え。
真実は読者の中にのみ存在するのだ」
 「はいはい」
 「はいはい」
 「んじゃ、次いきましょ次」
 「んじゃ、次いきましょ次」

 「あー、ちょっといいかね諸君」
 「あー、ちょっといいかね諸君」
 「あ。先輩。どうしてここに?」
 「あ。先輩。どうしてここに?」
 「ふむ。アイコンを描いたが使わないままではもったいない。……というではダメかね?」
 「ふむ。アイコンを描いたが使わないままではもったいない。……というではダメかね?」
 「ダメっていうか……」
 「ダメっていうか……」
 「冗談だ。裁判長。傍聴人としてひとつ気になったことがある。発言してもよろしいか?」
 「冗談だ。裁判長。傍聴人としてひとつ気になったことがある。発言してもよろしいか?」
 「かまいません。許可します」
 「かまいません。許可します」
 「感謝する。
 「感謝する。
木村氏のソースでは非常にわかりにくいのだが、クルト・ゲルシュタンの証言はアウシュヴィッツについて語ったものではないぞ」
 
  「……!」
 「……!」
参考資料:歴史的修正主義についてのQ&A 著マットーニョ
Carlo Mattogno, My Banned Holocaust Interview, Granata
(アドレス:ttp://revisionist.jp/mattogno_qa/07.htm)
SS上級突撃長クルト・ゲルシュタインはベルゼクの「ガス室」の主要証人であり、彼の「報告」はこの収容所についての公式の真実とみなされています。そして、彼は自発的に証言を書いたということになっています。しかし、彼の証言は、私が別稿[5]ですでに明らかにしていますように、本質的な諸点すべてで信憑性に欠けています。ゲルシュタインは、700−800名が5×4mのガス室――奇妙なことに、面積25m2、容積45m3となっている――に押し込まれた、すなわち1m2あたり28−30名が押し込まれたと述べています。そして、彼は、非論理的な算術計算を使って、この数字の正確さを証明し、自分の証言は文字通り真実であると結論しているのです。レオン・ポリャーコフは、ゲルシュタイン「報告」を出版するにあたって、この馬鹿げた数字をそのまま記載せず、資料[6]を「修正」して、25m2の代わりに93m2としています。しかし、ガス室の容積は「修正」していませんので、彼のテキストでは、ガス室の高さは48cmとなってしまっています。[7]
 「というわけで彼の証言はアウシュヴィッツとは関係ない。それが言いたかったのだよ」
 「というわけで彼の証言はアウシュヴィッツとは関係ない。それが言いたかったのだよ」
 「そのうち誰かが突っ込みを入れると思っていたんですが、誰も指摘しないために今の今まで放置だったようですね」
 「そのうち誰かが突っ込みを入れると思っていたんですが、誰も指摘しないために今の今まで放置だったようですね」
 「まあゲルシュタインの証言が当てにならないことは事実だし、その他の証言も似たり寄ったり。
 「まあゲルシュタインの証言が当てにならないことは事実だし、その他の証言も似たり寄ったり。
ただアウシュヴィッツには関係ないのでちょっと修正をしたかっただけなのだ。
ちなみにゲルシュタインについての分析はディーゼルエンジンを使った一酸化炭素ガス室でされているのでそちらを見ればいいだろう」
 「はっはっはっはっ!
 「はっはっはっはっ!
どうやら墓穴を掘ったようだな。
やはりホロコーストは事実だったのだ!」
 「ちょっと待て! たしかにゲルシュタインはアウシュヴィッツとは関係ないが……」
 「ちょっと待て! たしかにゲルシュタインはアウシュヴィッツとは関係ないが……」

「くすくす……今までおかしいと思わなかったんですか? おめでたい頭をした人たちだ」
 「……」
 「……」
 「ふっ ホロコーストを否定する連中の知能はこの程度のレベルということだ。
 「ふっ ホロコーストを否定する連中の知能はこの程度のレベルということだ。
これではこの先が思いやられるというもの」
 「その通り! 次からの章でホロコーストを否定するものが妄想と幻想の区別がつかない哀れな連中であることを証明してみせよう」
 「その通り! 次からの章でホロコーストを否定するものが妄想と幻想の区別がつかない哀れな連中であることを証明してみせよう」
 (ゲルシュタインがアウシュヴィッツに関係なくても、ホロコーストが証明されたことにはならないのだが…)
 (ゲルシュタインがアウシュヴィッツに関係なくても、ホロコーストが証明されたことにはならないのだが…)
 「それじゃ、こんどこそ次回に続くわね」
 「それじゃ、こんどこそ次回に続くわね」