1943年8月8日のニュー・ヨーク・タイムズのある記事を文字起こし・翻訳します。トレブリンカでの水蒸気室の話です。
by Wireless to THE NEW YORK TIMES.
LONDON, Aug. 7―Polish Labor Fights, a publication issued here today, printed an account of a house maintained by the Germans at Treblinka, Poland, for the extermination of Jews. In this place alone, it is said, the Germans have killed 2,000,000 persons.
The account of the executions opens with an announcement the Germans pinned up on the station where the victims arrive.
“You may be easy in your mind as to your future,” the notice read. “You are going to the east to work and your wives will have care of your household. Before you leave you must have a bath and your clothing must be deloused. Your property will be restored to you in proper condition.”
Men, women and children comply with the order for disrobing and then, states Polish Labor Fights, comes the first scene in the last act of the Treblinka tragedy. The article continues:
“Children with women go first, urged on by whips of the Germans. Faster and faster they are driven and thicker and thicker fall the blows on heads paralyzed with terror and pain. The silence of the woods is shattered by the screams of women and the oaths of Germans.
“The victims now realize their doom is near. At the entrance of the death house the No. 1 chief himself drives them to cells, freely using a whip. The floor of the cell is slippery. Some fall and are un- able to rise because of the pressure of those behind. Small children are flung over the heads of the women.
“When the cells are filled they are closed and sealed. Steam is forced through apertures and suffocation of the victims begins. At first cries can be heard but these gradually subside and after fifteen minutes all is silent. The execution is over.
“When the trap is opened to let the bodies drop down they fall in a compact mass, stuck together by the heat and steam. Cold water is sprayed on them with a hose after which the grave-diggers pile the corpses on a platform like the carcasses of slaughtered animals.
“Often a gravedrigger is too weak to carry two bodies, as ordered, so he ties arms or legs together and runs to the burial ground, dragging them behind him.
“The execution of men is carried out in the same way. They are driven along the same path through the woods. On their way to death the reactions of the victims differ. Some blaspheme, but all eventually are silenced by blows.
“At times not all victims can be squeezed into the death cells at once, and those remaining are kept near the house of death. They can see and hear all that takes place, but are so numbed in their senses that there is no sign of the instinct of self-preservation.
“This is clear proof of the condition to which they have been reduced by ill treatment and starvation.”
以下和訳:
ニュー・ヨーク・タイムズへの無線による。
ロンドンより、8月7日付――ポーランド労働闘争は今日ここで、ポーランドのトレブリンカでドイツ人によって維持されている建物によってユダヤ人が絶滅されているという発表文を提示する。この場所だけで、ドイツ人は200万人を殺したと言われている。
この処刑の証言は、犠牲者たちが到着した収容所に貼り付けられたドイツ人の告知と共に開示されている。
「将来について不安にならずとも大丈夫です、」その通知文には書いてある。「あなたは東に行って労働することになり、あなたの妻はあなたの家族から世話を受けることになります。離れる前に、あなたは入浴しなければならず、あなたの衣服は殺虫消毒されなければなりません。あなたの財産は適切な状態であなたの手元に戻るでしょう。」
ポーランド労働闘争によれば、男女若者は脱衣の命令に従い、それから、トレブリンカの悲劇の最後の行為の中の最初の場所に来るという。記事はこう続く:
「ドイツ人によって鞭で急き立てられながら女子供が先行する。彼らは恐怖と苦痛で頭を素早く酷く麻痺させられる。森の静けさは女性の叫びとドイツ人の悪罵で破られる。
「犠牲者たちは、自分たちの破滅はもう間近だと認識する。死の建物への入り口では主任本人が気儘に鞭を使いながら彼らを小部屋へと急き立てる。その小部屋の床は滑りやすい。女子供の一部は転び、更にその一部は後ろからの重圧のため立ち上がれない。小さな子供は女性の頭部を越えて投げ飛ばされる。
「小部屋がいっぱいになると、閉じられ施錠される。水蒸気が穴を通って犠牲者は窒息を始める。最初は叫び声があがるが次第に已み、15分後には完全な静寂となる。処刑の完了だ。
「死体を落とす為の跳ね蓋が開けられると、熱気と水蒸気による死体は落ちて小さな纏まりになる。墓掘りが死体を、殺した動物のように台に並べた後、可撓管で冷水が死体に撒かれる。
「命令された通りに2体の死体を運ぶには墓掘りは軟弱すぎたという事は時折あるが、その場合彼は死体2体の腕や足を結んで引き摺りながら埋葬地まで走る。
「男の処刑も同じ方法で行われた。彼らは森の中の同じ道を急き立てられた。死出の道での犠牲者の反応は異なっている。一部は罵倒したが、最終的には殴られ沈黙させられた。
「一度に犠牲者全員が死の小部屋に詰められるわけではなく、残された人々は死の建物の近くで待たされる。彼らは起こることの全てを見聞きできたが、彼らの感覚は余りに鈍麻しており生存本能は働かない。
「これは、劣悪な扱いと飢餓によって変わっていたことの明白な証明である。」
勿論、現在「トレブリンカに水蒸気室はあった」と言う正史派はいません。この記事は正史派からも偽証と判断されています……というか私の知る限りでは無視されてます。正史派がこれに言及した例を知りません。
そしてこの水蒸気室の話は『ポーランド政府によって』『ニュールンベルク裁判にまで提出されて』おり、『つまり、戦後、ポーランド政府がニュールンベルク裁判に提出した公式の文書にも、この「トレブリンカの水蒸気室」は事細かに描写されてい』ます(西岡昌紀著、沢口企画刊行、『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』252ページ)。
このことは、正史派もニュールンベルク裁判の異常さを認めている(あるいは無視している)証左となりましょう。
ところで現在正史になっているトレブリンカの一酸化炭素ガス室も、この水蒸気室と同じく図面も実物もなく証言だけなのですが、この2つにどう違いがあるのでしょうね。
おまけとして、画像右上の記事も文字起こし及び翻訳します。
まず文字起こし:
By The Associated Press.
MOSCOW, Aug. 7-Erich Weinert, poet president of the Free German National Committee, said today in his first public statement concerning the creation of the committee that it was started on the initiative of German war prisoners in Russia.
Herr Weinert said both officers and men appealed to German anti-Fascist refugees in Russia to form a joint commission for "the organization and leadership of a nation-wide anti-Hitler movement."
The statement was made in an article published in Pravda, Communist party newspaper.
以下和訳:
The Associated Press新聞より。
モスクワより、8月7日付――ドイツ解放全国委員会の委員長にして詩人のエリック・ワイナートは今日、全国委員会発足に関する彼の初めての声明の中で、これはロシア内でのドイツ人捕虜から始まったと述べた。
ワイナート氏は、高官や男たちがロシア内のドイツ人反ファシスト亡命者に「国家規模の反ヒトラー運動を組織化し、主導する」為の共同委員会を設立するよう要請した、と話した。
この言明は共産党機関紙「Pravda」の中で発表された。
上の報道は今でもニュー・ヨーク・タイムズ社とオンライン契約を結べば閲覧できます。私もそうやって閲覧しました。
また、国会図書館には当時の新聞の実物があり、お金を払えばその複製印刷を入手できます。
以下はオンライン契約で閲覧できるウェブサイトのアドレスです(契約しても上の画像と同じ内容が読めるだけですが)。
https://timesmachine.nytimes.com/timesmachine/1943/08/08/85115960.html?pageNumber=11